出会いと別れ

近所に住む同い年の男の子と女の子がいました。
赤ん坊の頃は、さすがに一緒に遊ぶことはなかったのだろうと思いますけれど、
1歳頃には一緒に遊んでいたようです。

もっとも、いつから居たのかも、いつ引っ越したのかもわからない、と言うよりは。
一緒に遊んでいたということを覚えていなかった、と言う方が正しいと言えるのですけれど。

ある日のこと、ふっと男の子の母親がつぶやきました。
あんた、中学生になるけれど、あの子も生きていたら中学生だったのにね。

もともとあまり丈夫ではなかったそうですが、女の子は小学6年生のときに病気で亡くなったということでした。

そういう女の子が身近にいたのだということを知って以来、
ある時は小さな、ある時は大きな存在として、男の子の心の片隅を占めることになりました。
それはまた、とある歌の詩を書かれたのが女の子の母親だと男の子が知るための、大切なきっかけでもありました。

時は流れ、ふとした縁で、男の子は女の子の母親に会うことができました。
それは、運命のいたずら、というものではなく。
共通の知人の取り持つ縁であったり、とある歌を演奏するという縁だったりと、
幾つもの運命が繋がりあったからこその賜物と言えました。
もしも、ひとつでもタイミングが合わなければ、そのまますれ違っていたことでしょう。

とは言え、男の子は48年ぶりに彼女の母親に会うことができました。
とても幸せな再会であったことを、到底言葉にすることはできないでしょう。
ほんのひととき、ほんの一瞬の再会ではあったのですけれども。
心に残ったものはとても温かく、心の中の女の子と女の子の母親との出会いは、大切な、温かい思い出となりました。

次の再会は1年後。
男の子はそう思っていたのですけれど。

突然送られてきた知人からのメールには、女の子の母親とは永遠の別れとなった報告が綴られていました。
今はまだ、悲しみを消すことはできませんけれども、
男の子は、彼女と彼女の母親が再会できたのだと、心の中で信じているのです。