マイ・ディア・キーボード 下

「上」「中」と続いてきたキーボード話。

「下」のキーボードは、YAMAHA SHS-10、ショルキー。
いわゆる、ショルダーキーボード。

欲しいと思った理由は、いろいろあるのだけれど。
デザインがとにかく、好きだった。
赤色に映えるデザインが一番、好きだった。

本当にそれだけ、たったそれだけで。
手にしたいという思いが高まり。
何とか入手したのだけれど。

中古で安く、という手法では、当然ながら中古であるし。
発売、そして生産終了からかなりの時が経過しているため。
完全なものはなかなか望めるものではなく。
いろいろ比較しての選択ではあったし。
それなりに満足していたのだが。
やはり人の欲望は尽きないもので。

壊れている鍵盤を直したい。
出ない音を出せるようにしたい。

そのために。

ええ、もう一台入手しました(秘)
ええ、いわゆる、ニコイチ目的、ですね。
今度は、外観は重視せず、動作が大丈夫なものを、と思い。
中古とは言え、多少高くても我慢。
本体発送前の検品で、動作不良のため別個体を発送したいと連絡があり。
別個体は、更に外観の傷が多くなるというので、諦めようかとも考えたが。
こちらは中身に用があるので、手に入れられるときに入手せねばと、その別個体を確保。

宅急便での配送とのことだが、もちろんケースは付属していない。
別個体の発送確認メールに対し、どうせケースはないのだから、安全に壊れないように発送して欲しいと返信していたので。
プチプチでぐるぐる巻きにされ、ギターの段ボールケースを使って梱包され、無事配送されてきたのだった。

実は、ショルキー用のオリジナルケースは、かなり危険だと思っている。
最初に入手したものに、オリジナルケースがついてきていたのだが。
ガパっと開くハードケースではなく、ジッパーを開けるソフトケースなのだが。
本体を出し入れする口が狭く、最高音の鍵盤が出し入れ口に引っかかるのだ。
うまくケースの口を開いて、鍵盤に当たらないようにしないと、必ず鍵盤を引っかけてしまう。
本体部分に鍵盤が収まっている、つまり、本体で鍵盤が隠れているのであれば,そんなことはないのだが。
鍵盤は本体より飛び出ているため、鍵盤が引っかかるのだ。
実際のところ。
先に入手したショルキーは、最高音の鍵盤がなかったのだけれども。
その隣の鍵盤ですら、ケースに引っかけてしまい、もう少しで破損してしまうところだった。

ショルキーの鍵盤は。
白鍵と黒鍵がそれぞれ別のプラスチックパーツで一体成形されている。
上位機種と違い、32鍵の白鍵がひとつのパーツなのだ。
一つ欠けているからと言って、その鍵盤だけ補充できる代物ではない。
だから。
こうして新たに仕方なく、別個体を入手することにしたのだった。

ショルキーが到着して、まず最初に確認したことは。
鍵盤の状態。
変色はそれなりにしているが、鍵盤は全部そろっている。
折れてもいないようだ。
うん、これは使える!
と思ったのだが。
黒鍵が1本、他の鍵盤と比べて曲がっている。
よく見ると付け根が割れており、斜めになっている。
これは使えない。
仕方がない。
白鍵だけを使おう。

さて。
最高音は、ちゃんと発音されるのか。
電源を入れてみる。
ACアダプターも付いてきていたので、さっそく使ってみるが。
良かった、音は出る。
次に、本体内蔵のデモ演奏をスタート。
こちらも大丈夫。
動作は良いみたいだ。

音色を変えたり、テンポやトランスポーズ、チューニングを変えながら。
きちんと音が出るか、適当に弾いていたのだが。
トランスポーズ機能を試したところ。
ダウンボタンを押して、音域を最低ラインまで下げた後。
再度高音に上げるため、アップボタンを押したところ。
表示がマイナス方向へ!?
どうも動きが逆転したようだが、本当に大丈夫か?

その後も。
弾いている途中に、だんだんと音域が下がってきたり。
チューニングが勝手に下がる症状も発生。
そしてボクは、途方に暮れそうになったのだが。

電源のオンオフを繰り返し。
各キーを何度も押し直してみたり。
最後の手段として、キーボード本体を振ってみたり。
あ、最後の手段は、良い子は真似しないでください。

そんなこんな。
何とか危険な症状は収まったが。
原因が分からず、かなり不安な状況であることに、間違いはない。

うーむ。
このまま、このショルキーを使うのが得策なのか?
基盤をバラし、必要な基盤と鍵盤のパーツだけを、移植するのが良いだろう。
そう考え、早速基盤を確認した。

基盤同士は、12線のフラットケーブルが直接ハンダ付けされている。
うまくできるのであれば、必要な基盤だけを取り外して、再度着け直すことが出来る。
のだが。
自分の腕には、自信がない。

とりあえずは、中身をそっくり入れ替え、様子見といくことにした。

赤ショルキーと銀ショルキーを分解。
どちらも背面筐体をとりはずし。
全面筐体にネジ止めされている基盤を、ひとつひとつ外していく。
メイン基盤に印刷されてた記号は、銀ショルキー(4桁のシリアルナンバー)がA、赤ショルキー(6桁のシリアルナンバー)がBとなっている。
まあ、あまり違いはないと思うのだが。

実のところ、大きな違いは別にあり。
赤ショルキーは、全所有者も大切にしていたようであり。
入手してから念入りに分解清掃しているため、中身もきれいなのである。
が。
銀ショルキーは。
銀ショルキーの中は。
いや、外観もそうだったのだが。
埃がすごいのだ。
中古とは言え。
分解してきれいにしてから販売、なんてことは。
考えてないショップなのだなぁ。
長い間、使われていなかったのが、本当によくわかるような。
ゴミと埃にまみれた基盤や筐体内部、各パーツを見ていると。
ちょっと悲しかった。

まあ。
汚ければ掃除すれば良い。
と、斜め45度くらいの前向き加減で。
掃除機やらクロスやらで大まかにゴミを取ってゆき。
赤ショルキーと銀ショルキーの中身を、そっくり入れ替えた。

ついでにと。
鍵盤やボタン類は水洗い。
このくらいしておけば、とりあえずは良いだろう。
そして、再度組み立て。

まず、銀ショルキーの中身は、元赤ショルキーの比較して新しい基盤が収まり。
でもその基盤のうち、鍵盤情報を受ける基盤だけは、1音NGありで。
鍵盤自体も、割れている黒鍵と、かけている白鍵を組み合わせた状態にした。

そして。
赤ショルキーが復活。
中身は、元銀ショルキーの、比較して古い方の基盤だけれども。
鍵盤もこれまでより色が白色から遠のいたけれども。
全ての鍵盤が揃い、全ての音が出力される。
やった、完成だ!

かくして。
赤ショルキーと、鍵盤、鍵盤用の基盤以外の予備パーツをゲット。
と相成りました。

また音が出なくなれば、基盤を組み合わせれば良いし。
まあ、銀ショルキーのボディそのものは、傷がかなりあり。
しかも、ネジ穴が2カ所、破損してしまっているので。
ボディは、ペイントやらのお遊び用のパーツとして、考えておけば安心だ。

そして。
秋の夜にもかかわらず。

実のところ、赤ショルキーの復活は8月だったから。
真夏の夜にもかかわらず、と記述したかったところだが。

秋の夜にもかかわらず。
毎晩のように、デモ演奏をエンドレス再生しているのです。

♪『ラスト・クリスマス』by ワム♪